業務用自作PC製作所

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買っちまったぜAMD Threadripper 7960X その2 CPUクーラーは空冷

・CPUクーラー
Threadripperともなれば水冷を使うのが一般的ですが、敢えて空冷で組んでみることにしました。理由はメンテナンスしやすさ半分、趣味半分といったところ。最近のインテルのハイエンドは発売される度に爆熱爆熱と言われますが、9900K・10900K・13900Kは空冷で組んで運用できているというのもあります。とは言え24コア280Wと32コア350Wではどうなるか分かりませんが。

sTR5対応の空冷CPUクーラーは現在ARCTICのFreezer 4U-MとNH-U14S TR5-SP6の2つだけ。NH-U14S TR5-SP6は恐らくNH-U14S TR4-SP3のリテンションが変わっただけで下から上に吹き上げる天面排気になります。一般的なサイドフローで背面排気だとFreezer 4U-Mのみ。

TR4/sTR4のクーラーでも穴の位置は同じで高さが若干違うだけ、モノによっては使えそうです。一応TR4/sTR4対応クーラーにも目を向けてみると、大き目の空冷だとCooler Master Wraith Ripper、be quiet! DARK ROCK PRO TR4、Thermalright Silver Arrow TR4、DeepCool FRYZEN等ありますがいずれもsTR5に付けるとすると回転してしまってサイドフローにはなりません。重さや大きさといった物量面から見ればツインタワーのWraith Ripperが一番冷えそうなんですが、sTR5公式対応であることや全体のエアフローを考えてARCTICのFreezer 4U-Mに決定。公式にはTDP350Wなんでダメダメということは無さそうなんですが、使ってみるまで分かりません。

Freezer 4U-Mは国内未発売でARCTIC直販サイトで購入、本体64.99ユーロ・送料32.35ユーロで合計97.34ユーロ。15800円、送料なければ安いんですけどまあ許容範囲です。補修用のファンは12.99ユーロと安いけどnoctuaをタイラップか針金で括り付ければよさそうなので買いませんでした。


・メモリ

DDR5のRDIMM(ECC Registered)であれば大丈夫でしょうけど、無難にTRX AERO Dのサポートリストから64GBで絞ると入手が容易なのは以下の4択。

    タイミング 電圧 チップ ランク レイテンシ 値段
KF564R32RBEK4-64 6400 32-39-39-80 1.4v Hynix A 1Rx8 5.00ns 75900
KF560R32RBEK4-64 6000 32-38-38-80 1.35V Hynix A 1Rx8 5.33ns 66520
KF556R28RBEK4-64 5600 28-34-34-89 1.35V Hynix A 1Rx8 5.00ns 60340
KSM48R40BD4TMM-64HMR 4800 40-39-39-77 1.1V Skhynix-Rambus 2Rx4 8.33ns 41799

いずれもキングストン製で上3つはモノは同じで高クロックなのは選別品のようです。経験上OCメモリって体感できないことが多く、4800MHzでいいかななんて思ったけど、レイテンシ計算してみると5600MHzを買うのがお得な気がしてKF556R28RBEK4-64を注文。


・NVMe M.2 SSD
GIABYTE TRX50 AERO DはPCI-Express Gen5に対応はしてはるけど、いま発売中のGen5 SSDに採用されているコントローラーPhison PS5026-E26やSilicon Motion SM2508はかなり発熱するようで、Gen5を使うなら発熱が少ないかもしれないSilicon MotionのSM2504XTを採用するGen5 SSDが登場するまで待った方がよさそうです。取り敢えずGen4で速い990 PROにしました。安定のサムスン。容量は500GBで十分ですが無かったので1TB。

余談ですがサムスンのM.2 SSDは7つ使っていますがデータが読めない壊れ方をしたことはありません。特殊な使い方をして寿命を迎えて書き込み禁止になってしまったものが1つありましたが、読み込みはできてデータの救出は問題なし。一度だけ使ったインテルのM.2 SSDは壊れてデータ読み込み不能になりました。それ程のサンプル数ではないので運かもしれませんが。

 

残るはケース。色々迷った挙句、とんでもないものを買ってしまった…。

買っちまったぜAMD Threadripper 7960X その1 発売日に秋葉原でGet!

仕事上13900Kでやらせている処理がモタついてしまっていて、更に上の性能を求めるとThreadripperを導入するしかなく取り敢えず7960Xを導入してみることに。CPU単体で27万円・CPUとマザボで40万円超と高額ですが、5%も性能が上がらない14900Kでは改善しないでしょうし仕方ないです。発売日前は96コア192スレッドのトップモデル7995WXや64コア128スレッドの7985WX・7980X、32コア64スレッドの7975WX・7970Xの情報ばかりで24コア32スレッドの7960Xの情報は皆無でした。しかし64コアの3990Xから7980X、32コア3970Xから7970Xの性能の上り具合を見ているとCinebenchで55000前後は出そうな雰囲気。

CPU コア/スレッド Cinebench R23  
3990X 64C/128T 64300  
7980X 64C/128T 99638 第3世代比1.57倍
3970X 32C/64T 40961  
7970X 32C/64T 58201 第3世代比1.71倍
3960X 24C/48T 34255  
7960X 24C/48T 55000前後?  
13900K 24C/32T 36753  

13900KのCinebench R23の値は一般的に40000前後、私は安定重視で37000弱で運用していますが、50000を超えるのであれば現状のモタ付き解消が期待できそうです。やらせる処理はグラボ1枚・メモリは64GBで足りるので、PCI Expressのレーンやメモリチャンネル数はPROのTRX90ではなく無印のTRX50で十分ということで7960Xに。32コアの2990WX発売当時、おおよそ必要になることなんてないだろうと思っていたスリッパを自分が買うことになるなんてビックリです。

 

マザーボード

今のところ3択です。

メーカー モデル 規格 電源フェーズ PCIe M.2 SSD 2.5G LAN
ASUS Pro WS TRX50-SAGE CEB 36(18×2)+3+4+4 5 3 Intel I226-LM
ASROCK TRX50 WS E-ATX 18+3+3 5 2 RTL8125BG
GIGABYTE TRX50 AERO D E-ATX 16+8+4 3 4 RTL8125BG

CPUファンは空冷予定なのでエアフローを考えるとファンレスがいい、手持ちのケースの関係でCEBよりE-ATX、そんなにカツカツなOCはしなそうということでGIGABYTEのTRX 50 AERO Dに決定。有線LANは3つとも10GbのMarvel AQtion AQC113Cが付いているのですが現在のネット環境が最速で1.8G程度、10G接続だとルーターや本体側の発熱もありそうなので安定面で2.5Gの運用が良さそうです。2.5GだとレイテンシはインテルよりRealtekというのもTRX AERO Dを選んだ理由です。

…で決まったことは決まったけど、どうやらTRX AERO Dの初回入荷数はかなり少ないようです。22日にCPU発売、25日GIGABYTEマザボ発売、12月以降にASUS・ASROCKマザボ発売というスケジュール。どうせなら発売日に欲しい、だけどCPUだけあってもなあということでツクモに電話してみるとセットで予約可能とのことで予約してしまいました。結果的にはCPUは各店在庫あるもののマザボは売り切れな状況だったので予約してよかったかなと。

Threadripper 7960X

無事、発売日にCPUとマザボをセットで確保。また冷やかしでツクモ店内を見ていると電源とグラボもkakaku.comの最安より安かったので買ってしまいました。

・グラボ

ゲームはしないし4K×2画面出れば何でもよかったけど、生成AIで遊ぶ可能性もあるかも?と思って3060の12GB品を探していると、玄人志向のGG-RTX3060-E12GB/OC/DFが安かった。

 

・電源

構成からすると850Wぐらいで足りるかなと思ったのですが、ANTEC SIGNATURE 1000 Platinumが2.1万円。SEASONICのOEMプラチナ1000W電源がこの値段なら十分です。

7000円ぐらいは節約できました。行ってよかった秋葉原

…お会計は約46万円。しかし46万円で7000円なんて誤差じゃないかという感覚より、道にわざわざ財布から7000円落とさないだろうという感覚を大事にしたい。アークやドスパラパソコン工房ソフマップ等々も回りましたが、まあなんだかんだで数年ぶりの秋葉原ショッピングは楽しかったです。電源が重くて持って帰るの大変だったけど。

i9-13900K 空冷で常用オーバークロック ASRock Z790 PRO RS /D4

まずは低電圧化寄りのオーバークロックをしてみました。変更部分だけ。

OCツール(OC Tweaker)

CPU Coufingration
CPU P-Core レシオ(ratio) すべてのコア(All Core)
 All Core 55
CPU E-Core レシオ(ratio) すべてのコア(All Core)
 All Core 43

Intel SpeedStep テクノロジー(Technology) 無効

長期間電力制限(Log Furation Power Limit) 320.000
長時間維持(Long Duration Maiintained) 56s
短時間電力制限(Short Duration Power Limit) 320.000
CPUコア電流制限(CPU CoreCurrent Limit) 400.00
CPU Power Limitation Unlock

DRAM XMP 2.0 DDR4-3200

電圧設定 (Voltage Configration)
電圧モード OCモード
CPUコア/キャッシュ電圧(CPU Core/Cache Voltage) 固定モード
 固定電圧(Fixed Voltage(V)) 1.3000
CPU ロードラインキャリブレーション(CPU Core/Cache Load-Line Calibration ) レベル1
CPU GT ロードラインキャリブレーション(CPU GT Load-Line Calibration) レベル3

アドバンスド
 CPU設定(CPU Configration)
 CPU Cステートサポート(C States Supports) 無効

13900Kと13900KSの違いはKSは選別品で6.0GHzまで回る、13900Kと13900KFの違いはKFはiGPU無し。安定重視の空冷での運用で6.0GHzも回さないし、価格に差がある13900KSじゃなく13900Kで十分と思ったのですが、低電圧化でも13900KSの方が良い結果になるようでKSにしておけば良かったです。ベンチマークはこの設定だとCinebench R23で37055ですが、もしかしたら空冷縛りなら7950Xの方が良い結果かもしれません。

13世代・Z790のマザーボードの設定を一通り弄ってみましたが、注意点としてはオーバークロックならまず電力制限と電流制限は解除する必要があります。電力制限は320・電流制限は400としましたが、初期設定のままだと温度には余裕があるのに勝手にクロックダウンします。電圧はオフセットでV-Fカーブを調整するのが13世代の王道のOC方法のようですが、業務時は常時負荷がかかっているし旧来と同じ電圧Fixedでやってみました。ポン付けより温度はだいぶ下がっているので一応は低電圧化できている様子。それとCPU Cacheはマザボにもよりますが50までがよさそうです。このマザボだと51以上だと起動はできてもベンチマークブルースクリーンになってしまいました。

この設定でOCCTを回すと消費電力は187W程度、CPUクーラーはDeepCoolのASSASSIN IIIでCPU温度は70℃前後。しかしCPU温度はベンチマークを回している時より業務時の方が上で80~85℃。CPU使用率は業務時でPコアで45~95%・eコアで60~100%ぐらいとOCCTの全コア100%より低いのに温度は上。OCCT時は1.280Vで通るのですが、業務時に落ちるので1.300Vまで上げました。業務時はOCCT時よりCPU使用率は下でも純粋な負荷は上なのかも。5.6GHz以上にするとOCCTやCinebench10分は通っても、かなり電圧を盛っても業務中に安定しません。実用的にはPコア5.5GHz/eコア4.3GHzのやや低電圧化なオーバークロックで運用するのが良いと判断しました。また、5.6GHzだとOCCTではサーマルスロットリングの発生はありませんが、Cinebench R23では発生してしまいます。5.5GHzが空冷の限界と言えそうです。低電圧寄りのOCをしてみたら高クロックの限界も変わらなかったという結果。

10thの10900Kの時は同じ処理をやらせて全コア使用率80~100%で温度は同じぐらい、モタ付きもありました。13thの13900Kは10900K比でPコアが2つ減ってeコアが4つ増えての実質10→12コア、第6世代のSkylake級と言われるeコアってどうなのかと思いましたがパワーはだいぶ上がっているようです。色々な処理を並列してやらせるなら13900K乗り換えはアリですね。空冷でもツインタワーであれば十分運用できるし、最新CPUの高性能を享受できます。

i7 4790K Z97-A 経年劣化後の常用オーバークロック設定見直し その3

不安定になってしまったのでまた設定見直し。OCして使っていると例外なくどのCPUもOC耐性が時間とともに低下していくので仕方ないですね。最近13900Kを購入して調整中なのですが、熱というよりCPUの反りが悪影響を及ぼしているのかもしれません。13900Kでノーマルの固定金具だと通らなかったOC設定が、反り防止金具なら通るなんてことがあるようです。12世代や13世代のインテルは特に反りが酷いのですが、どの世代のCPUも真ん中で抑えているわけで、時間とともに程度の差こそあれ反ってしまってOC耐性が低下してしまうのかもしれません。

この4790Kは4.5GHzだと1.3V以上にあげてもOCCT10分通らないので、4.4GHzで運用することに。買った当初は最新鋭で速くてビックリした4790Kも、今は稼働中のCPUで最も遅くなってしまいました。担わせている業務もメインではないので、そんなに0.1GHzに命かけなくてもいい感じです。発売から9年経ちますが、まだまだ実用範囲なCPU。

OCCT10分だけならもっと低電圧でも通ったのですが業務中にブルースクリーン発生。OCCTの方がCPU負荷は高いのですが、こういうこともあります。現在調整中の13900Kでもそうでした。OCCTが通った電圧から0.1~0.2Vぐらい盛ると業務中も安定します。遅いのも困りますが、止まってしまうのが一番困るので業務用PCはとにかく安定重視です。

Ai Overclock Tuner
ASUS MultiCore Enhancement 無効
CPU内部クロック倍率 Sync All Cores
1コアの倍率制限値 44
最大CPUキャッシュ倍率 40
EPU Power Saving モード 無効

Ai Tweaker\DIGI+ VRM
CPU供給電圧調整 Level9
CPU VRM Switching Frequency 手動
Fixed CPU VRM Switching Frequency(KHz) 500
CPU用VRMフェーズ制御方式 Extreme
CPU Current Capability 140%

Internal CPU Power Management
Long Duration Package Power Limit: 4096
Package Power Time Window: 127
Short Duration Package Power Limit: 4096
CPU Integrated VR Current Limit: 1023.875

Frequency Tuning Mode: +
Frequency tuning offset: 6 %
Thermal Feedback: Disabled
CPU Integrated VR Fault Management: Disabled
CPU Internal VR  efficiency Management: High Performance
Power Decay Mode: Disabled
Idle Power-in Response: Regular
Idle Power-out Response: Fast
Power Current Slope: Level -4
Power Current Offset: -100 %
Power First Ramp Response: 1.50
Power Saving Level 1 Threshold: 0
Power Saving Level 2 Threshold: 0
Power Saving Level 3 Threshold: 0

Extra Over-voltage 無効
CPU Core Voltage 手動モード
CPUコア電圧 1.200
CPU Cache Voltage 手動モード
 CPUキャッシュ電圧 1.210
CPU システムエージェント電圧オフセット調整符号 +
CPUシステムエージェント電圧オフセット値 0.100
CPUアナログI/O電圧オフセット調整符号 +
CPUアナログI/O電圧オフセット値 0.100
CPUデジタルI/O電圧オフセット調整符号 +
CPUデジタルI/O電圧オフセット値 0.100
CPU入力電圧 1.830

i9-10900K MSI MAG Z490 TOMAHAWK 経年劣化で常用低電圧オーバークロック設定見直し 5.1GHz→5.0GHz

4790Kの頃からCPUは経年劣化するというのを体験してきましたが、10900Kも例外ではないようです。最初は1.35Vで5.1GHz動作していたのですが、1.39VまであげてもOCCT10分通らなくなりました。仕方なく5.0Ghzで設定見直し。色々弄ってみて判明したのは、CPU IO VoltageやCPU SA Voltageは10900K+MSI MAG Z490 TOMAHAWKの場合は上げても意味はなく、AUTOのままでOK。勝手にCPU IOだけ1.25Vあたりに昇圧されますが、それ以上に昇圧しても特に安定性に影響はありませんでした。DRAM VoltageもAutoで1.365Vまで昇圧されますが、それ以上に昇圧しても特に意味はありませんでした。

Overclocking

OC Explore Mode [Expert]

CPU Setting
CPU Ratio Apply Mode [All core]
CPUの内部倍率を変更 [50]
CPU Ratio Mode [Fixed Mode]

Advanced CPU Configrarion
C-State [無効]

Ring Ratio [47]

DRAM Setting
XMP [Enabled]

Voltage Setting

Digital Power
CPU Loadline Calibration Control [Mode1]

CPU Core Voltage Mode [Override Mode]
CPU Core Voltage 1.280

 

1.280Vで4.7GHzの個体もあったので、経年劣化したとはいえこの10900Kは当たり石ではあるようです。